桑原・稲荷山地区方言集

巻頭言

血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと  藤村

言葉につながるふるさと 本当に我等が日常話す言葉の内に何かしらふるさとの血に、心につながるものがある。
その尤も親しまれるものに方言がある。昔ながらの方言もだんだん姿を薄くしてきて、やがては消えて行くことで あろう。昭和39年桑原・稲荷山地域に住む先輩達が編集した方言集を元にして示します。ご愛読願います。

まえがき

一体言葉の成立には、それを使用する人々の生活が結びついている。方言も勝手気ままにつくられたものではなく、 地域の人々の生活より生まれ、そして育ったものである。故に方言の研究により地域の生活史を知る一助ともなり得 るし、又それを使った人たちの情意知性というようなものも知ることが出来るものである。
吾々の祖先ー勿論名もない民衆は、様々な遺産を残してこの世を去っていった。これらの中にあって方言も残され た大事なものの一つ。而も生まな貴重な文献である。オコマリグサ(ノミノフスマ)と言えば、あの北風寒い初春の 麦田の草取りの始末のわるさがにじんでいるし、オヨウタケ(ショウゲンジタケ)と言えば、およう婆さんが戦後の 食糧不足の際、思いきって試食してくれたのが初まりで誰言うとなくオヨウタケの方言を生んでしまったもの。桔梗 といっては何の曲もないがボンバナの方言は、いかにもあの紫のしっとりと落ちつきのある花は魂祭るお盆にふさわ しいおもむきを持つ。
これらは方言が生活史を知る一助となるといった例であり、又情意知性を知ることができるといった一・二の例で もあるのである。然しこの方言集は方言の研究ではない。その名の如くただ方言を集めたもの。研究の材料をありの ままにあつめ並列したものに過ぎないもので、その研究に至っては他にゆずるべきものである。
今や方言は亡びつつある、といっては大ゲサかも知れないが、忘れんとしつつある、とは言える。今回、長生会で 集められた方言の数々を処理しつついく間に、昔なじみに出くわして、魂の故郷に帰った懐かしさを覚えたが、それ とともに、かかる方言を拾い集めることこそ、年とっているものの適任であることを思い、長生会の企ての適材であ り適所であることを感じた次第で、かかる文化遺産を残すことに敬意を表する次第である。

あ行

《34語》
方言 標準語 用例 備考
あんぐら
あぐら
あぐろ
あぐら
あんごろ
あぐら
ありした
ありました
ありす
あります
あま
このあまめ、ばかあまめ ののしりの言葉
あまっちゃく
あたける
あばれる あらあらしい動作
あばける
ふざける
あくたれ
あくたれ息子、あくたれ女 下品な行動、悪ふざけ
あくてつく
あくたいつく あくてをつく
あいおい
伯仲 年があいおいだ 同程度、なから同じ
あいさ
あいさにはさまった
あおでしょ
青大将 へびの一種
あおのけ
仰向け
あかし
あかり
あきね
あきない 商売
あきおんど
商人
あくと
かかと
あだじゃねい
容易でない
あっこ
あそこ あっこんとこ
あったら
あたら あったらもん 惜しい
あつべる
あつめる
あつばる
あつまる
あてづっぽ
あて推量
あてげいぶち
あてがいぶち
あと
あとの人 他の人
あとびしゃり
あとずさり
あね
俺内のあね、あねや 嫁の呼称
あまぶれる
こげる
あたまっくだし
あたまごなし
あのけんまく
あのけんまくやったのに 多量
あんしゃん
あにさん 兄さん
あんやん
あにさん

《33語》
方言 標準語 用例 備考
いかず
いこう 行かんとす
いきす
いきます
いっちまう
いってしまう
いきしょ
いきましょう
いいかげん
よいかげん いいかげんにしておけや いいころかげん
いい
ゆい いいっこをする 労務交換
いっかな
いっかな動かない どうしてもの意
いきれる
じりじりする そんなにいきれるな
いじれる
じりじりする
いじいじ
そういじいじするな
いじかめる
いじめる
いけむ
いきむ
いざる
ざる
いじむさ
いじきたない
いべ
行こう
いじゃ
行こう
いしょす
石臼
いたずいこ
いたどり
いちこつ
いっこく
いじる
いじめる 嫁をいじる
いびる
いじめる 嫁をいびる
いぼつる
すねる
いごく
うごく
いさけ
いさかい
いける
食べられる 飯がいける
いしょ
衣裳
いちげん
いちげんの席(本式)
いちゃつく
あわてる 落ち着きがない
いこ
えらく、余り いことぼけるな 度に過ぎて
いつける
ゆわいつける
いのくる
ぬりたくる
いのご
リンパ腺肥大
いんにゃ
いいえ

《13語》
方言 標準語 用例 備考
うな
うぬ 汝、貴様
うされ
失され どこえでもうされ 行ってしまえ
うしのべった
牛糞
うだる
ゆだる
うでる
ゆでる
うれましい
うらやましい
うわっか
うわかわ 表面
うと
空洞
うとろ
空洞
うむ
うれる
うたぐる
うたがう
うそろ
うすばか
うなう
耕す
《15語》
方言 標準語 用例 備考
えべ
行こう
えぼつる
すねる
えこ
あまり えことぼけるな
えんさ
えんがわ
ええ
ゆい 労力交換、お互い様
ええっこ
ゆい 労力交換、お互い様
えらい
大変
えんざ
へた 柿のへた(蔕)
えぶ
歩く 幼児語
ええぶ
歩く
ええもち
分家
ええらし
愛らし 老人語
ええて
相手 老人語
ええそ
愛想 老人語
ええす
あやす 赤ん坊をええす
《71語》
方言 標準語 用例 備考
おおとでなし
おおとでなしな事をしでかした 格はずれ、とてつもない
おくらぶち
炉のふち
おくらぶちたたく
勝手気ままなことをいうこと
おつよ
おつゆ
おいんな
お出でな(さい)
おかん
湯加減 湯や酒の温度かげん
おおけん
おおよそ
おくんな
おくれな(さい)
おめさん
お前さん
おちゃんこ
おすわり 幼児の語
おおたら
おおざっぱ
おおていず
おおざっぱ
おっていず
おおざっぱ
おおふ
おおふにふるまう けちの反対
おきょく
お手玉
おつかれ
夜の挨拶語、こんばんはと同義語
おっぽけ
おおざっぱ おっぽけばかりいう人 いいかげん
おしょし
しょうしい 恐縮
おね
おねそうだもの いったい
おどける
おどろく
おい
おまえ おいはどうした
おじょこ
こましゃくれ おじょこいうな
おっこす
こわす
おてしょ
てしお 小皿
おめさめ
おめさ おめさめやってみろ 思う存分、精一杯
おっつけべったり
おっつけべったりにやっておけ なりゆきにまかせる
おざぶ
麺類 老人のことば
おざざ
麺類 老人のことば
おうつり
おかえし 返礼の品物
おおのめし
おおのめしにやっておけ
おおばす
大食
おおまくらい
大食
おちゃづけ
昼食
おきょうそ
軽率
おこまんま
赤飯
おからみ
たわし
おとうじ
麺類料理の一種
おにかけ
麺類料理の一種
おこう
おこうこ
たくわん漬け
おんか
公然と
おひゃらかす
冷笑する ひやかす
おちょうべ
へつらい
おだむ
おだやかになる
おたくら
じょうだん おたくらいうな
おしかけ
炊事
おやき
やきもち
おこつる
おこたる
おこまりぐさ
のみのふすま 草の名称
おしていく
ねじこむ
おこで
汁碗
おせる
教える
おと
へだたり おと近に子供が生まれた
おちょんき
軽率
おちょんこ
軽率
おっしゃん
小父さん
おっさん
小父さん
おっしゃん
和尚さん
おっさん
和尚さん
おっち
おし
おとげ
おとがい
おぶつなさん
うぶすなさん
おんもら
おだやか ふんわり
おちょうべ
おべっか
おめってい
おっくう
おっこう
おっくう
おめったい
おっくう
おちゃおけ
お茶うけ
おしょる
折る
おっぽしょる
折る
おようたけ
しょうげんじたけ 茸の名称

か行

《47語》
方言 標準語 用例 備考
かくし
ぽけっと
かまう
いじめる
かまける
こぼす 愚痴をいう
かたくら
肩車
かたる
加える
かてる
加える
かがっぺ
まぶしい
かいしき
小皿
かいしき
かいもく
かずま
かど(角)
かかしらう
かかりあう
かっきり
丁度
かっぱ
区画 一かっぱ
かたっぽ
片一方
かねちょろ
かなへび(とかげ)
からっきし
からっきしだめだ 全然
かんし
かんべん かんしな 子供が使う
かしゃっぱ
枯葉
かなっぱす
かなっぱずに間に合った きわどいところ
かたで
まるで かたでだめだ
かせいで
いそいで かせいでいけ
かあばる
糊がかあばって使われない
かずける
かこつける
かんます
かます 穀類、芋類をいれるむしろ製の袋
かんます
かきまわす
かっくい
切り株
かっくらせる
なぐる、打つ かっくらせるぞ
かびたいも
馬鈴薯
かぶたいも
馬鈴薯
かぜんぼ
桑棒
かぶつ
かみなりのへそ
つくし
かるぶし
乾草 かるぶしを刈る
かわちに
かわりに
かんばん
はっぴ
かげん
ちょうし 身体の具合、調子
があたく
あばれんぼう
がんたく
あばれんぼう
がき
このがきめ 子供の罵言
があた
まわり
がせいない
がんぜない 弱々しい
がいろっぱ
おおばこ 植物名
がいろ
かえる
が(あ)す
ございます
があら
河原
がんすっぽ
中空
《23語》
方言 標準語 用例 備考
きしり
炉端の薪をおくところ
きしら
炉端の薪をおくところ
きりこみ
きりこみ箱 麺類を入れる箱
きんきん
いきいき きんきんしている
きゃらんぼ
おたまじゃくし
きなくせい
こげくさい
きかい
製糸工場
きせろ
きせる
きのずに
きままに
きびしょ
きうす
きびす
しらみの卵
きび
きみ きびがわるい、気味
きもっきり
短気
きりゃねい
きりがない
きんな
きのう、昨日
きす
きりぎりす
ぎょうる
料理する
ぎょうる
いじめる
ぎゆうす
押さえつける
ぎゃくったま
かえる
ぎんぼう
心棒 車のぎんぼう
ぎりぎり
つむじ
《22語》
方言 標準語 用例 備考
くらせる
たたく
くらせる
はじめる これから一つくらせるか
くじな
たんぽぽ
くせ
くさい
くせえ
くさい
くね
かき
くぼたまり
くぼ
くらげる
まくる
くろっくわ
石垣などを積む者
くずやね
萱ぶきやね
くぞ
くず(葛)
くちばた
くばってえ
くすぐったい
くべる
たく(焚) 薪をくべる
くまんざれ
熊手
くら
一くら二くら 回数をしめす
くるみ
くるぶし
くわがら
くわ(鍬)
くじな
たんぽぽ
ぐし
むね(棟) 屋根のぐし
ぐざる
むずかる
《22語》
方言 標準語 用例 備考
けしねびつ
こめびつ 古語(大田原)
けえる
かえる 家へけえる
けえす
かえす(返)
けえる
きえる 雪がけえる
けえる
かえる 品物をけえる 交換する
けえっこ
かえっこ 交換
けぶ
けむり
けべえ
けむい
けえし
鳥糞 主として鶏糞にいう
けんど
けれど そうだけんど
けろけろ
けろり けろけろしている 平気な様
けだし
門前
けっちる
便秘する
けえこ
かいこ(蚕)
けしびつ
火消壺
げえに
つよく げえにしばっておけ
げえむね
甲斐もない
げえもね
甲斐もない
げえぶん
がいぶん(外聞)
げえろ
かえる(蛙)
げえろっぱ
おおばこ
《33語》
方言 標準語 用例 備考
こう
来い
こく
ぬかす、云う 何をこく
こせる
こしらえる
こう
かび こうふける
こびつく
こげつく
こわい
こい(濃い) 色がこわい
こま
ま(間) いつのこまにやったか
このか
こめぬか(こぬか)
こが
大桶(おおおけ) 老人がいう
このがる
かがむ
こばそだて
稚蚕飼育
こばがい
稚蚕飼育
こんだ
こんど
こないだ
このあいだ
こびれ
こびる(小昼) おやつ、間食
こんねに
こんなに
こばしり
小用足し
こぐ
自転車をこぐ
こごる
くぐる
こや
こいよ こっちこや
こやこや
こいや
こばらがへった
少しはらがへった場合にいう
ごうがわく
立腹する
ごぜん
ごはん(飯)
ごむせ
むさい
ごぶてえ
ふとい(太い)
ごあす
ございます
ごったく
ごったくを片づけろ 乱雑な物
ごた
ごたこねる すじの通らない様
ごめ
ごと(毎) 一軒ごめら 軒並み
ごうまく
ごうまくに着る 不相応に沢山
ごうじ
うじ

さ行

《27語》
方言 標準語 用例 備考
さがねる
さがす
ささぎ
ささげ
さばな
さよなら 挨拶の語
さばさば
さよなら
さんざ
さんざん
さきっちょ
末端
さきっぽ
末端
さんだす
さしだす
さむしい
さびしい
さびい
寒い
さきおってな
さきおととい
さきだめたつ
先だち
さすが
小刀
さくる
耕す
さんし
産婦
さくべる
くべる 枝を風呂釜にさくべる
さばく
さく(裂く)
さで
枯松葉
さでがき
熊手
ささらほうさら
いいかげん ささらほうさらにやっておく 粗略
ささらさんぱち
いいかげん
さいはらい
ちりはらい
さべる
しゃべる
ざざ
麺類
ざっべに
だてら 女のざっぺに何だ
ざいごっぽ
いなか者
《38語》
方言 標準語 用例 備考
しばらっくれる
しらばっくれる
しりしね
しりません
しま
ながら 食べしま歩く
しこ
かっこう そんなしこするな
しょっぺ
しょっぱい
しむ
しぬ(死ぬ)
しょうね
しかたない
しょん
しゅん 時季
しつける
縁づける
しっちゃばく
裂く
しめし
おむつ
しゃあく
ひしゃく
しゃあくなし
益なし
してぐち
ひたい
しこたま
たくさん
しょんべん
小便
しこって
しこってなやつだ 手におえない
しあさって
明後後日
しと
しとを打つ 米をふかす時にうつ水のこと
しゃっぽ
帽子
しんがら
しんがらかく 片足で立つ
じぶん
おまえ
じょん
じゅん(順)
じみ
せみ
じゃしき
ざしき
じゃる
ざる
じょうばこ
じゅうばこ
じょうや
常々
じょうの
じゅうのう
じょんさ
じゅんさ
じべた
じめん(地面)
じんと
じみ じんとな柄
じゃんかじゃんか
じゃんか頭 藪のように乱れている様
じょうべし
藁打ちの台石
じょうり
ぞうり(草履)
じょんじょ
ぞうり 幼児語
じげり
どうらん たばこ入れ
《28語》
方言 標準語 用例 備考
すけねえ
すくない
すけない
すくない
すべっけ
すべらか
すぐり
つらら
すげ
すげでたばねる 藁をつらねて何か束ねるもの
するす
すりうす
すべ
藁のすぐった屑
すま
すみ(隅)
すいこ
すかんぽ
すっぽかす
ほうりなげる
すくだまる
かがまる
すてばて
すてばち
すてきもねえ
すてき すてきもねえ大したものだ
すし
籾種 すじまき
すぐどうり
すどうり すぐどうりする 知らん顔して通る
するし
しるし
すべっころぶ
すべりころぶ
ずく
ずくを出す 精を出す
ずで
まるで ずでだめだ
ずるい
のろい
ずんでんがあ
大田原方面でいう
ずらい
にくい やりずらいこと
ずれ
にくい やりずらいこと
ずこ
ずこったま
ずない
ずない野郎だ 横着、ず太い
ずね
ずない野郎だ 横着、ず太い
《17語》
方言 標準語 用例 備考
せっこ
精根 せっこいい
せいふろ
すえふろ
せう
言う
せつない
かなしい
せつね
かなしい
せんどな
先頃
せばい
せまい
せべ
せまい
せこかう
入れ知恵をする
せちゃつく
急ぐ様子
せかせかする
急ぐ様子
せわしねえ
せわしい
せが
せがを割って炊く 用材のきれはし
せっかち
彼はせっかちだ 性急
せんだごき
稲扱機
せがめる
強要する
せげ
堰堤(えんてい)
《20語》
方言 標準語 用例 備考
そんだから
それだから
そんねに
そんなに
そっくら
全部 そっくらあげる
そっくり
あの人とそっくりだ よく似ていること
そっぽ
不愛想 そっぽな人
そさび
おやつ 間食
そうだに
そうです ほんとうにそうだに 女性がいう
そらっぺ
うそ
そらっぱち
うそ
それそれにする
整頓する それぞれにしておくがいい
そんぶり
そぶり
そいで
それで
そうだい
そうだ それはそうだい 肯定の場合
そうかって
そうかといって
そうかっちゃ
そうでしたか
そべる
少しそべるか 身体を横にする
ぞぜる
あまえる
ぞぜえる
あまえる
ぞっき
ばかり 麦ぞっき食べている

た行

《33語》
方言 標準語 用例 備考
たあくらたあ
あいつはたあくらたあだ いいかげん
たんと
たくさん
たんぽ
たもと
たんし
たにし
たかし
竹馬
たまか
つづまやか たまかな人
たぶたぶ
ふくらはぎ
たぼたぼ
ふくらはぎ
たちっこ
雀の子
たねる
背負子にたねる 荷をつけること
たぼこ
たばこ
たぶけり
たばこいれ
たまあに
まれに
たしない
足りない 不十分
たしね
足りない 不十分
たくしりあげる
たくりあげる
たてめ
棟あげ
たるい
だるい
だいこ
大根
だりい
だるい
だくな
不良 あれはだくなだ
だまかす
子供をだまかす 泣きやませること
だまかす
だます うそをいう
だまくらかす
だます
だみ
だび(荼毘)
だだ
だだをいう ワイセツなことをいう
だらず
だろう そうだらず
だいろ
かたつむり
だれ
たれ(誰)
だれ
たち 君だれ止めろ、わんだれ止せ
だら
なら いやだら止めろ
だいどこ
台所 家の入り口の土間
《17語》
方言 標準語 用例 備考
でんごろ
あぐら
でも
でしょう 言ったでも
でえない
大きい
でえね
大きい
でほ
でほうだい
でほうで
でほうだい
でかす
こしらえる
でえ
・・・したでえ
でくしゃく
でこぼこ
でかでか
大きく
できもん
できもの
でけえ
大きい
でへいり
出入り
でんぼ
でんぼう 手足の不具
でえろ
かたつむり
できねい
できない
でえく
大工
《33語》
方言 標準語 用例 備考
とうど
人夫 田植えとうどにたのむ
とまぐち
戸口
とうびん
やかん
とうぎざら
行灯の油皿
とが
つるはし
とてつもねい
突飛
とうしん
水すまし(昆虫)
とっぽやっぽ
とっぽやっぽしている 判断がつかないこと
とっこ
とぶ
走る
とびっくら
徒歩競争
とうちゃん
とやん
とうやん
とよ
としょり
年寄り
とろっぴょ
いつも
とんます
ひっくりかえす 焼き餅をとんます
とっぱずす
失敗す
どうで
どうせ どうでだめだろう
とっくに
ずっと前に
とうね
子馬
とうねっこ
子馬
とうし
始終
とっかめる
とらえる
とんぽ
とんぼ
どいれ
えらい どいれ人間だ
どうぶかし
蒸籠
どうずく
たたく
どんどやき
左義長
どてっぱら
畦畔
どろ汽車
貨汽車

な行

《40語》
方言 標準語 用例 備考
なご
樹氷
ない
ねえ あのない 大田原方面にていう
なあ
ねえ あのなあ
なげぐち
茶の間の表口
ないないする
しまう ないないしておけ 幼児に用いる
ないでわら
ないでわらもっていけ 稲苗をたばねるわら
なおしか
なおさら
なかえ
中結い なかえをした方がよい
なから
大体 なからいいと思う
なきべそ
なきべそかく 泣きそうになる
なきゃ
なければ やらなきゃならない
なげい
長い
なして
下さい おあがりなして
なせ
この坂はなせだ ゆるい傾斜
なぜる
なでる
なぜくる
なでる
なついも
馬鈴薯
なっちょ
どうして こんな夜更けになっちょしてゆかれようか
なな
するな 禁止
ななやれ
するな そんなことななやれ 禁止
ななやっと
するな そんなことななやっと 禁止
なにょう
なにを なにょうこく
なめ
粘液便
ならかす
ならす 鐘をならかす
なりき
通り いうなりきになる
なりずもく
果物
なるい
ゆるやか 今朝の寒さはなるい
なんか
なにか
なんこ
ひろったものなんこ ひろったものの勝ちだの意
なんしろ
なににせよ
なんせ
なににせよ
なんだって
何故
なんで
何故
なんたら
なんという
なんまさん
神様、仏様
なんねえ
ならない
なっちゃった
なってしまった
なかし
仲買
中折
半紙
なたまめ
ふじまめ
《7語》
方言 標準語 用例 備考
にねえ
にないおけ
にいたたかす
わかす 湯をにいたたかす
にっかこ
あかんぼ
にげえ
にがい(苦い)
にょう
藁のにょう 積み上げたものの称
にやか
にぎやか
にわ
にわおき、にわやすみ 蚕齢
《2語》
方言 標準語 用例 備考
ぬくとい
今日はぬくとい日だなあ
ぬり
風呂がぬり ぬるいの約か
《18語》
方言 標準語 用例 備考
ねえ
ない
ねんぼう
めんぼう 麺類をうつ棒
ねなくら
根拠のない
ねな
根拠のない
ねえど
ないぞ そんなことねえど
ねっこくり
全部
ねいか
ないか そんなことねえか いくじゃねえか 疑問、誘引
ねえま
ないま 苗代
ねえる
にいる
ねえたたかす
にる
ねぐせえ
食物の腐敗しかかったにおい
ねっから
さっぱり ねっから売れなかった
ねっこ
ねっちょ
粘土
ねぶる
ねむる
ねやん
姉さん
ねんじん
にんじん
ねんね
ねんねしなさい ねること、幼児に使う
《18語》
方言 標準語 用例 備考
のくとい
あたたかい
のりい
風呂がのりい
のるま
のろま
ののさん
仏様
のか
ぬか
のかる
ぬかる
のぐ
ぬぐ 着物をのぐ
のける
ぬける
のして
のせて 車にのしていけ
のすむ
ぬすむ
のすと
ぬすびと
のつ
無器用
のつっぽ
無器用
のぶとい
ずぶとい
のんべんぐらり
のんべんだらり
のみたて
宴会
のうやすみ
田植え休み
のやげ
ぬいあげ 着物ののやげ

は行

《44語》
方言 標準語 用例 備考
はいも
里芋
はくしょ
くさめ
はくしょん
くさめ
はあくろ
そばかす
はしっけ
ずるい
はしっけ
すばしっこい
はづな
たづな
はそん
修繕
はなる
はじまる
はねる
はじめる
はば
畦畔
はりつける
うつ 平手で打つ
はりみず
はりのあな
はりのみぞ
はりのあな
はあるか
久しい
はんこ
髪の一部、すった残り
はあて雪
うす雪
はえい
はやい
はぐる
めくる 頁をはぐる
はげり
半襟
はげり
大桶
はした
行った もう家へはしたろ
はたく
たたく
はぜる
めだつ
はでる
めだつ
はっちょびらき
ちりぢりになること
はりっか
張子
はんのめす
はりのめす
はんげん
半夏
ば ぱ
ぱっぱ
たばこ 幼児語
ばあちゃん
おばあさん
ばやん
おばあさん
ばかいい
ばかいうな
ばせ
さんだわら
ばそく
即座に
ばらざっくれ
ばらで皮膚が裂けた様子
ばんてん
交るがわる
ばばい
きたない 幼児語
ばっか
ばかり こればっか
ばか
ばかり こればかなんだ
ばかし
ばかり こればかしなんだ
ぱち
めんこ
ぱっちん
めんこ
《52語》
方言 標準語 用例 備考
ひきずり
あれはひきずり女だ しまりのないこと
ひょうし
ひとかたけ
一飯 食事の回数数詞
ひっつい
へっつい
ひくげた
こまげた
ひざおぼ
膝蓋骨
ひくひく
ひよめき 乳児の頭の前頭部で呼吸の度に動く
ひして
終日
ひだりい
ひもじい
ひっくりけいす
ひっくりかえす
ひっちげる
関節をはずすこと
ひでぐち
ひたい
ひとっきり
しばらく
ひとら
ひとり
ひぼ
ひも
ひどろ田
湿田
ひやけ
ひでり
ひょうな
ひよこ
ひらべったい
ひらったい
ひいろ
ひる(蛭)
ひんね
ひるね
ひわけ
わかい(若い)
ひき
熟蚕
ひきる
蚕がひきる 熟蚕になる
ひく
しく(敷く) 布団をひく
ひざ
ひだ 袴のひざ
ひしり
炉の薪の置き場
ひだりい
ひだるい
ひだりっかち
ひだりきき
ひっかく
わる 茶碗をひっかく
ひっかすばる
ひからびる
ひっこくる
ひきくくる
ひっこくり
ひきくくり
ひっちゃばく
さく
ひったくる
奪う
ひっぱさみ
尻はしょり
ひっつめる
つめる
ひっつり
やけどのあと
ひでえ
ひどい
ひとっとし
同年
ひとんずつ
一つずつ
ひとみず
ひとみしり この子はひとみずで
ひの
水門
ひののき
ひるま(昼間)
ひょうたく
火をたく ひようたかんか
ひょうし
はずみ
ひんがら
終日
ひんむしる
むしる とる
びちゃる
すてる
びっちょ
備中鍬
《35語》
方言 標準語 用例 備考
ふんずける
ふみつける
ふんずぶす
ふみつぶす
ふんと
ほんとう
ふきったま
ふきのとう
ふじくら
麻裏草履
ふすべ
ほくろ
ふすべ
黒穂 麦の病気
ふのけ
ふぬけ
ふみでえ
ふみだい
ふよ
ふゆ(冬)
ふんだくる
奪う
ふくがえる
ひきがえる
ふたる
ひたる 湯にふたる
ふっくるけえす
ひっくりかえす
ふな
三眠 ふな休む(三眠) 蚕齢
ふてえ
ふとい(太い)
ふるしき
ふろしき
ふるっち
未熟の果実
ふるっぱ
ふるっぱで卵を産まない 老鶏
ふろく
この水田はふろくでこまる 平らでないこと
ふんじゃばく
裂く
ふんじばる
しばる
ふんだくる
奪う
ふんずかまえる
つかまえる
ぶちこみ
手打ちうどんを野菜などを入れて煮たもの
ぶっこみ
手打ちうどんを野菜などを入れて煮たもの
ぶに
ぶん 私のぶに(分けまえ)
ぶすっつら
不平顔(仏頂面)
ぶっちげ
たがいちがい
ぶるける
つるす
ぶんのくど
ぼんのくぼ
ぶんなぐる
なぐる
《27語》
方言 標準語 用例 備考
へい
はい(灰)
へい
はい(蠅)
へい
もう へい五時だ
へえき
へいき(平気)
へえび
へび
へえる
はいる(入る)
へして
一日
へず
すじ 一へず二へずと数える 細長いものの数詞
へたっかす
へた
へたくそ
つたない
へつり
そのへつりにある あたり、へん
へなす
けなす
へぼ
ひも(紐)
へぼ
へた へぼ将棋
へら
した(舌)
へる
すく 腹がへる
へんね
ひるね
へえぼ
蜂類
べいつる
奪いあう
べべ
着物 おべべ着なさい 幼児語
べい
着物 べい着ろ 幼児語
べっちゃり
たくさん、一面に べっちゃりある
ぴっちゃり
ぴったり ぴったりあう
べと
つち、どろ
べちゃる
すてる
ぺちゃ ぺっちゃり
ぴったり ぺちゃぺっちゃりだ 丁度同じ
《29語》
方言 標準語 用例 備考
ほっかぶり
ほほかむり
ほえづら
なきつら
ほせい
ほそい
ほど
びんのほど
ほおたろ
ほたる
ほっつきあるく
うろつく
ほいっちょ  ほいっちょ
走る時のかけ声、幼児に使う
ほれ
それ ほれ行け
ほんうり
越瓜
ほんだ
まるまげ ほんだに髪をゆう
ほう(か)
そう(か)
ほっぺた
ほほ(頬)
ほどく
とく 結びをほどく
ほまち
へそくり
ほんこ
本式
ほしょる
折る
ほっぽしょる
折る
ぼ、ぽ
ぼんばな
ききょう
ぼや
ぼや切りに行く 小枝の薪
ぼこ
赤ん坊
ぼっち
かたまり ひとぼっち
ぼて
桑ぼて かご、竹や藁などで作ったもの
ぼんぼ
ぼんぼでる 小幼の詞
ぼやぼや
ぐずぐず ぼやぼやしているな
ぽっぽ
ぽっぽいたい 小幼の詞
ポットロ
鉛筆
ぽっかり
ぽっかりしている 気抜けの状態
ぼぼうつる
顔がうつること

ま行

《26語》
方言 標準語 用例 備考
まっくら
まっくらけして
まっくらけしていく あわてて、とり急いで
まねる
まねてくれる つげぐち
まつべる
かわいがる あのおばあさんはよく子供をまつべる
まつめる
まとめる
まくる
草をまくる ひとまとめにする
まくまく
まくまくする うす暗くなる
まてえ
まてえにする 倹約する
まてい
全部 まていに食べる
まくらう
くらう
まぶる
まぜる
ままやく
どもる
まねくり
とんぼがえり
まき
一族一門 あのまき
まぎれ
くるしまぎれに 接尾語に使う
ままかか
けら(昆虫)
まる
ひる 小便まる 古語
まるける
たばねる
まるけ
たば 数詞
まるっちい
まるい
まると
全く
まし
ぐるみ 箱まし与えた 接尾語に
まっと
もっと
まみえ
まゆげ
まんが
馬鍬
まくもうぞもない
まくもうぞもなく食う 不相応に多い
《9語》
方言 標準語 用例 備考
みぞおち
みずおち
みず
栞の実
みずまわし
洪水
みそっちょ
みそさざい
みぐせ
見苦しい
みぐさい
見苦しい
みっともねえ
見苦しい
みそまめ
大豆
みそか
灯台の油が漏れて下の受け皿が30日で一杯になる。
その受け皿のことをみそかといった。
《10語》
方言 標準語 用例 備考
むかさる
嫁入ること
むく
孵化させる 卵をむく
むしっぺ
吐き気のすること
むしっぽい
吐き気のすること
むせっけ
むせっけなことをするな 向こう見ず
むっくし
悉皆(しっかい) むっくしだめだ
むせい
むさい(きたない)
むらう
もらう
むずっけ
むずがゆい
むけ
むかい むけに行け
《17語》
方言 標準語 用例 備考
めっためった
ますます やたらに
めえで
まいで(前)
めえかけ
まいかけ
めい
一めい二めい 数詞
めだくだま
めだま
めえさけ
見境 めえさけない
めえしゃっくれ
もえさしの木
めんぱ
木製楕円形の飯入れ
めんがら
麦桿
めんこはんこ
ちょっと 僅少
めちょ
片目
めつける
見つける さがす
めしがまけ
めしがまけする 飯たきの用意
めめず
みみず
めちゃっこ
小さい魚
めえる
見える
めごめごしい
かわいらしい
《21語》
方言 標準語 用例 備考
もん
もの あのもんは誰だ
もうらしい
かわいそう
もといと
以前
もも
もろ
むろ(室)
もずっけ
くすぐったい
もずっかい
くすぐったい
もっこつ
ごつごつした様
もやっぺえ
もやもやした様
もげる
ぼける
もってね
もったいない
もうる
もる(漏る)
もえしゃっくれ
もえさし めえしゃっくれ参照
もこ
婿
ももっか
おばけ(お化け) ももっか出るぞ
もろこし
とうもろこし
もどす
吐く
もてら
ぐるみ 袋もてら貰った 接尾語に
もんぼし
あんずぼし
もっつ
むっつ(六つ)
もくれんじょ
木蓮

や行

《38語》
方言 標準語 用例 備考
やうち
家内中
やっちゃう
やってしまう
やだすど
いやですよ
やりす
やります
やりした
やりました
やりしょ
やりましょう
やん
様(さん) とうやん(父様)
やくてもな
やくたいもない やくてもなそんなことして ようでもない
やくなし
この品はやくなしだ よくない
やくやく
わざわざ
やっこい
やわらかい
やけっつり
やけっつりになった やけどあと
やっくと
わざわざ
やぶっか
やぶ(藪)
やれ
笑えたければ笑えやれ 命令形
兄やこっちへ来いや
やろっき
あのやろっき
やろんぼ
あのやろんぼ
やごめ
やもめ
やえんぼ
さる
やっとこ
やっと やっとこ来た 漸く(ようやく)
やっとこすっとこ
やっと
やご
夜具
やっぱし
やはり
やっけえ
やっかい
やっけえ
やわらかい
やくてもない
やくてもないこというな 無用
やくてもねえ
やくてもないこというな 無用
やぶせってえ
うっとうしい
やみくも
やたら
やなあさって
明後後日
やのあさって
明後後日
やしょうま
涅槃会の供物の一種
やまかぶし
やまかがし
やめん
はやりめ 眼病に一種
やしなう
子供にやしなってやれ 食べさせてやること
やわら
泥深いところ
やんば
立場 いやなやんばになった
《4語》
方言 標準語 用例 備考
ゆうべな
昨夜
ゆんべな
昨夜
ゆぜる
ゆでる
ゆるりっと
ゆるりと ゆるりっと休みなさい ゆっくりと
《27語》
方言 標準語 用例 備考
よう
硫黄
ようがた
夕方
ようだち
夕立
ようはん
夕飯
ようべ
夕べ(昨夜)
よんべ
夕べ
ようやけ
夕焼け
よのさき
湯の崎
ようさんし
繭商売
よて
得手
よっぴて
終夜
ようがす
ようございます
よからず
よかろう
よくな
ありがとう
より糸
木綿の縫い糸
よか
よりか それよかこの方がよい
よけら
四回 数詞
よくら
四回 数詞
よもたい
おもたい(重たい)
よもて
おもたい(重たい)
よういと
ゆっくりと よういとのぼれ
よこっぺ
横の方
よろり
いろり(炉)
ようでもねい
無用
ようたくでもねえ
無用
よて
湯手袋
よりい
寄り合い

ら行

《2語》
方言 標準語 用例 備考
らちもねえ
つまらない らちもねえこというな
らっちもない
つまらない
《4語》
方言 標準語 用例 備考
りょうぶ
屏風
りんりき
人力車
りょうる
いじめる
りんぼう
心棒 車の心棒
《7語》
方言 標準語 用例 備考
ろす
留守
ろじ
庭の植え込み
ろうじ
庭の植え込み
ろくな
ろくなことはない
ろくでなし
彼はろくでなし 丁度でない
ろくったま
ろくったまやらない
ろくすっぽ
ろくったまやらない

わ行

《17語》
方言 標準語 用例 備考
わんだれ
おまえたち
わりゃ
おまえ
わりい
わるい
わにる
はにかむ
わにる
こりる いまにわにるな
わりかし
割合
わい
そうだわい 大田原方面で使う
わらんじ
わらじ
わくめる
つぐなう
わかされ
分かれ道
わけしょ
若い衆
わき
よそ よその人
わんぐり
湾曲の様